豊洲市場協会(伊藤裕康会長)は11月8日、正副会長全員が東京都庁を訪問し、小池百合子都知事に対し豊洲市場に関連する6項目について、要望を行いました。要望内容は下記の通りです。

 

 

 豊洲市場は、去る10月11日に開場一周年を迎えました。

 この一年、我々業界一同は、豊洲市場という新しい舞台において、市場業務という専門性の高い仕事を、どのようになじませていくか、また、新たなチャレンジにどう取り組んでいくか、模索してまいりました。一年が経過し、御都のご尽力と個々の事業者の弛まぬ努力の甲斐もあり、現在では、滞りなく日々の市場業務に邁進することが出来ており、未来に向かい着実に歩を進めております。

 

 一方で、市場を取り巻く環境は大きく変わりつつあり、数々の流通環境の変化等による多くの課題に直面していることも事実です。

 

 とりわけ、令和2年度は、改正された卸売市場法が施行されるほか、HACCAP義務化への対応、漁業法に基づく水産資源の管理強化や、原産地証明等トレサビリティーの強化など、我々の業務にどのように影響するか懸念されるところです。しかし、こうした中においても、川上である産地や川下である実需者・消費者と一体となり、流通の中核である中央卸売市場として、御都と連携を図りながら我々豊洲市場協会としてもしっかりと対応していく所存であります。

 

 今後は「地元に愛される、都民に信頼される、世界に羽ばたく」の三点のビジョンの実現を目指し、豊洲市場を更に発展させていく所存であります。開設者である御都におかれましては、是非とも豊洲市場の役割と業界のおかれている実状についてご理解を賜るとともに、そのビジョン実現方、ご高配賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

  • 要望事項

 

1 卸売市場法改正への対応

 

 平成30年6月に改正された卸売市場法が、令和2年6月から施行されます。

 この改正法では、市場運営や取引に関する大幅な規制緩和等が盛り込まれておりますが、引き続き公正な取引や価格形成・健全な経営と決済が担保されるよう、我々も努めております。御都におかれましても、開設者として市場関係者間の協議の場に積極的に関与いただくことをお願いします。

 

2 経営活性化への支援

 

 多様化、グローバル化する食品流通産業の変化やHACCP義務化への対応を盛り込んだ食品衛生法の改正などの環境変化を踏まえ、意欲ある事業者に対する支援や品質・衛生管理の高度化に向けた取り組み支援とともに、経営に不安を持つ事業者を下支えする取り組みをお願いします。

 

3 豊洲ブランドの構築

 

 今後は築地市場で長年積み上げてきました信用とその歴史を引き継ぎ、「TOYOSU」の新たなブランド構築のために、御都を含めた我々業界のたゆまぬ努力が必要と考えます。豊洲市場の知名度向上は喫緊の課題でありますが、我々業界一同は、国内外からの信用や信頼が得られるよう、様々な取り組みにチャレンジし、じっくりと豊洲ブランド構築に取り組んでいく所存です。

 

 東京2020オリンピック・パラリンピック大会時には、外国人観光客はもとより、全国各地からの多くの観光客が豊洲市場を訪れることは想像するに難くなく、このような絶好の機会を逃すことなく、御都として豊洲の知名度向上に向けた支援と積極的な取り組みをお願いします。

 

4 食育の普及

 

 近年、人口減少や魚離れの影響により、水産物の消費量が減少傾向にあります。

 今後も卸売市場の役割を担っていくためには、私たち自身のたゆまぬ努力は当然に必要でありますが、一方で、消費者の消費量増加に資する行政の取り組みも不可欠であると考えています。

 御都においても、食育の実施や食育の普及についてご尽力いただくとともに、とりわけ次世代を担う子供に対する食育事業の強化等をお願いします。

 

5 交通アクセスの改善など

 

 我々業界にとって、買出人や通勤者の卸売市場にかかる交通アクセスの確保は極めて重要です。御都におかれましては、豊洲市場の開場にあたり、未だ改善しなければならない点が多々あることは現実です。

 

(1)買い回り支援

 旧築地市場に買出しに来ていた方々にとって、豊洲市場へのアクセスが不十分であるとの声を数多く耳にします。こうした不便さは、豊洲市場への買出し自体を敬遠する大きな理由になっており、これら事情をご斟酌いただき、ご支援をお願いいたします。

 

(2)駐車場機能の確保

 豊洲市場内の駐車場については、業界内で使用ルールを定め、柔軟に運用しながら活用しているところですが、築地市場よりも台数は増えており、ピークタイムには買出人駐車場が不足してしまうことも実態としてあります。御都としても、有効利用について更に配慮していただきたいと存じます。また、一年で最も繁盛する年末年始の時期等において、警備員の増強による交通動線の確保等、一定の配慮をお願いします。

 

(3)環状二号線の円滑な通行

 東京2020オリンピック・パラリンピック大会の開催にあたり、豊洲地区は大会会場の真中に位置し、環状二号線をはじめ周辺道路が一部通行止めになると伺っております。

大会期間中、特段のご配慮により、環状二号線は一時的な使用ができるようになりましたが、事業者の関係車両が円滑に通行できるよう、ご支援をお願いします。

 

6 情報の発信

 

 これまで卸売市場は、決済機能や品ぞろえ機能、新商品の開発等々、それぞれの時代に合わせた機能を発揮し、広く支持を得て発展してきましたが、情報化社会において、我々も遅れることなく、常にタイムリーな情報を発信しながら対応していくことが必要であると認識しています。

 産地や実需者、消費者に対し、正確、かつ、最新情報をリアルタイムで発信していくことについて、御都のご協力をお願いします。

以上