新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は3月19日、対策の状況分析・提言を発表しました。この中で、国内の感染状況について、「引き続き持ちこたえているが、一部地域では感染拡大が見られ、今後地域において、感染源がわからない患者数が継続的に増加し、こうした地域が全国に拡大すれば、どこかの地域を発端として、爆発的な感染拡大を伴う大規模流行につながりかねないと考える」と指摘。その上で、社会・経済機能への影響を最小限としながらも、感染拡大防止の効果を最大限にするというこれまでの方針を継続すべきとしました。
 
20200319専門家会議状況分析・提言
 
 専門家会合では、オーバーシュート(爆発的患者急増)に言及しています。「事前にはその兆候を察知できず、気づいた時には抑制できなくなってしまうというのが、この感染症対策の難しさ」と指摘。オーバーシュートの生じる可能性については、「人が密集し、都市としての人の出入りが多い大都市圏の方がより高いと考えられる」としました。具体的に北海道大学の教授の試算した人口10万人の特定地域の感染拡大を試算して、無症状・軽症を含め最終的に8割が感染するとし、「クラスター対策などの強力な公衆衛生学的対策を講じ、医療提供体制を上回らないようにすべき」としました。
 
 国内の感染状況では、北海道以外の新規感染者数が、都市部を中心に漸増しているとしたほか、感染源がわからない感染者が増加している地域が散発的に発生しているとしています。
 

 
 一方、感染者や濃厚接触者に対する偏見や差別については、「断じて許されない」と指摘。「誰もが感染者、濃厚接触者になりうる状況である」としました。その上で、感染者や事業者に積極的な調査への協力が感染拡大の防止に不可欠としています。豊洲市場では、感染者等が発生した際には、主要団体を通じ、開設者等に連絡する体制を整えております。積極的疫学調査とともに、不確かな情報を拡散せず、市場内での感染拡大防止にご協力をお願いします。
 
 大規模イベントについては、「主催者がリスクを判断して慎重な対応が求められる」としました。
全国規模の大規模イベントは、
 
 1、多くの人が一堂に会するという集団感染リスクが想定され、この結果、地域の医療提供体制に大きな影響を及ぼしかねないこと(海外の宗教行事等)

 2、イベント会場のみならず、その前後などに付随して人の密集が生じること(札幌雪まつりのような野外イベントでも近辺で集団感染が発生)

 3、全国から人が集まることに伴う各地での拡散リスク、及び、それにより感染者が生じた場合のクラスター対策の困難性(大阪ライブハウス等)
 
 この3つのリスクについては、「屋内・屋外の別、あるいは、人数の規模には必ずしもよらないことなどの観点から、大規模イベント等を通して集団感染が起こると、全国的な感染拡大につながると懸念される」としました。一方、開催する際の注意事項も提示。
 
 1、人が集まる場の前後も含めた適切な感染予防対策の実施

 2、密閉空間・密集場所・密接場面などクラスター感染発生リスクが高い状況の回避

 3、感染が発生した場合の参加者への確実な連絡と行政機関による調査への協力などへの対応を講ずることが求められる、としました。