一般見学者の入場中止が続く豊洲市場で、水産仲卸が目利きしたプロ向け食材を自宅で楽しめる新たなサービスがスタートしました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、外出自粛や新しい生活様式などライフスタイルが大きく変化しています。これに対応し、生産者から流通、小売・飲食業者までが、テークアウトやネット販売、ドライブスルー販売など様々な取り組みを始めています。そんな中、豊洲市場の水産仲卸組合公認サイトで、5月15日から鮮魚BOXなど「豊洲の目利き」を楽しめるネット販売が始まりました。

 

 豊洲市場の水産物取扱量は4月以降、前年同期に比べ1〜2割減と苦戦。中でも料理店向けなどの高級食材は行き場を失い、単価下落も起きています。また、専門性の高い仲卸業者への影響も小さくありません。そこで、プロ向けの仕入れサイト「いなせり」の一般消費者向けコーナー「いなせり市場」に特設ページを開設。そんな専門性の高い仲卸業者が目利きした食材を仕入れ、販売することとなりました。

 

 豊洲市場の仲卸は消費者に直接水産物を販売することができません。市場外にある「いなせり」の運営会社が仲卸から仕入れることでネット通販を実現します。豊洲市場には日々千数百トンもの水産物が早朝までに入荷、午前のうちに商いが成立し、出荷されます。これが卸売市場の機能です。残念ながらこのスピードにネット通販では追いつけないため、鮮魚BOXは、その日の入荷状況など踏まえ、「仲卸の目利き」による「おまかせセット」にすることで生鮮流通を実現します。前日の午後8時までに注文すれば、翌朝に入荷した魚介類から目玉商品を含む仲卸セレクトの鮮魚BOXが完成。豊洲市場から直接ご自宅に向け発送されてきます。商品には目利きした仲卸業者の屋号が記されるので、お気に入りの仲卸業者が見つかるかもしれません。

 

 特設サイトではこれまで組合公式事業として取り組んでこなかった動画制作にも着手。鮮魚の捌き方や干物の焼き方、目利きのポイントなどを仲卸業者自らが解説していきます。動画では実際に市場内のキッチンスタジオで調理してもらい、そのポイントを伝えていきます。おうち時間が増えた今だからこそ、魚をさばいてみたり、グリルを使った調理に挑戦してみるのも良いかもしれません。

 

 

仕入れサイト「いなせり」は築地から豊洲に移転する前の2016年に、プロの買い出し人の利便性などを考え、仲卸組合の公認事業としてスタート。毎日買い出しに来ることができない遠方の事業者などの仕入れを代行してきました。現在、480ある水産仲卸業者のうち、65業者が登録。プロ向けサイトへの出品を行っています。消費者向けサイト「いなせり市場」ではこの事業者の中から協力者を募り、鮮魚BOXやマグロBOX、干物BOXなどを販売していく予定だそうです。

 

【特設サイト】

http://inaseri.co.jp/toyosushijou/